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Vol.1 花と事務所と私

Data.2025年3月11日

3月も中旬、今年も早々に1年が終わるのではないか、と思うスピード感についていくだけでも大変な毎日です。

先日、知り合いの社長さんが事務所移転するという事で、お知らせのお便りが届きました。事前に聞いていたし、ここは奮発して良いお花を送ろう!と思いネットで花屋を検索。しかしどのお店が良いのかとか全く分からず、ちょうど隣に役員のI氏が居たので、どこか良いお店知らないかと尋ねたところ、「…あぁ、あそこ良いんじゃないかな」と、ある花屋さんを教えてくれました。

私は花屋の良し悪しについて全くの無頓着で、それなりの金額で、それなりの質の花であれば良いと思っていたし、そもそも何処もかしこも大した差がないとさえ思っていた。しかしI氏によれば、送るだけじゃなく、送った後も大事とのこと。…どういうことだ?枯らさないように私が定期的に送った先の事務所に水をやりに行けという事か?ならば花を送ること自体見直したい。

お花をもらい受けた側の話で、鉢に入ってお花が届くわけですね。当たり前ですが。例えば今回のようなお祝いのお花(今回は定番の胡蝶蘭にしました。)で、割と大きいサイズだと鉢も必然的に大きくなります。さらには胡蝶蘭がきれいに整列したままの配置になるように、花の根本や茎に紐のようなもので括り付けるしなった形状の棒2本もセットで刺さって届くんですよね。胡蝶蘭は時間と共にひらりひらりと花が落ちていきます。(昨年もらったのでこれはよく解っています。)仕舞いには、「しなった棒2本が刺さった大き目の鉢」(以下、「棒鉢」という)だけが残ります。これを処分するのが大変であるという事。なるほど、確かにそうだった。去年事務所内で「棒だけが刺さった大き目な鉢をどうするか」論争を暫く展開していた。もらい受けた人の事を考慮するI氏、素晴らしい。…んで、何が良くてその花屋さんを教えてくれたんだ。

さらにI氏の話を聞き進めるとその花屋さんは、なんと棒鉢を無料で回収をしてくれるという事だった。なんと!素晴らしい!貰い受けた人が最終的に処分の仕方に困ることがなく、電話一本で花屋さんが回収に来るという素晴らしいシステム。思わず感動さえ覚えた。商売というのはこういう“思いやり”が大事なんだなと、改めて痛感した。私は無論その花屋さんに連絡、気持ちが良くなった私はボリューミーな胡蝶蘭を手配するのであった。人を感動させる仕組みに触れた者はもはや必然的にそのサービスに糸目をつけない。これがビジネスの極意か…、まんまと手中にはまったぜ!ただこれで社長さんも棒鉢に頭を抱えることはあるまい!

大変失礼な話だが、花屋はお花を売っているだけの存在だった私の印象が大きく変わった。贈る側と貰い受ける側の気持ちを大切にし、終始“花”というひとつの植物でハートフルな感情を繋ぐ架け橋になる素敵な存在だったのだと知った。これからは「花屋」と書いて、“ハートウォーミング・ジョイント・ブリッジ・システム・マイスター”と呼ぶことにします。

14年経っても、いつも心に。合掌。